今後の課題 (脱毛エステが今、なすべきこと)

105号通知を認識しよう

他の項目でも何度も出てきた厚労省より2001年に出された通達だ。
使用しているフラッシュ脱毛機でお客様の皮膚組織を破壊する行為は、医師法違反という違法行為になってしまう。
この通達が出てから何店舗も脱毛エステが摘発されてきた。
消費者をはじめ皆が疑問に思うのは、「じゃあ、何で全国各地でエステが毎日ふつうに脱毛をしているの?」ということだが、実際は顧客に火傷を負わせてトラブルにならない限り、営業しても特に行政や警察は動かないということだ。
火傷がおきれば、それは皮膚組織を破壊している、と判断しているのが現状のようだ。

それでは今まで顧客に火傷や皮膚障害を起こしたエステは、みな医師法違反に問われているかと言えば、それは違う。
そういうアクシデントが起こっても、迷惑をかけてしまった顧客に対して適切に対応したために、そこまでのトラブルや事件にはなっていないケースは相当な数に上ると推察される。

105号通知や医師法違反事件を知らない従業員には、過去の事例を挙げて、どういう経緯で違法行為となってしまったか、責任ある立場の者がしっかり教えることが必要だと思う。
中にはそういうネガティブな情報は一切従業員に伝えないオーナーさんもいる。
でもそれは返ってマイナスだと思う。
火傷を起こさないように施術する緊張感は現場のエステティシャンには必要だし、万が一起こってしまった時の対処を間違わぬようにするためにも、店舗全員で共用すべき情報なのだ。

声なき声に耳を傾けよう

webの掲示板や口コミサイトを見ると、通っているエステに不満を持っている顧客の人達の書き込みが溢れている。
店側に直接クレームを出せば良いのにと思うような事例も見受けられ、おとなしいお客様が多いんだなあと思う。
勧誘や商品販売が執拗な店舗に通っている人の「断わると担当者が露骨に態度を変えるので、次の予約の日が憂鬱です」などという書き込みを見ると、同じ業界に身をおく者として何だか申し訳ない気持ちになってくる。
脱毛に限らず、エステで提供しているメニューは継続的に利用するものがほとんどだ。
以前に比べると都度払いも増えてはきているが、大半のメニューが継続的料金(一定期間の前払い)を採用している。
前払いした顧客はその役務を消化するまで来店する。
おとなしい顧客はその間の多少の不平不満は我慢してしまうが、おとなしいタイプの人が不満を内に溜め込んでしまい、許容量を超えて溢れ出た時は、大きなトラブルに発展しやすい。

不特定多数が相手だから、いろいろなタイプの顧客がいる。
大事なことは、どのようなお客様であっても平等に接することだ。
店側にダイレクトに要望や不満を言ってくれる顧客は、ある意味で扱いやすい。
問題は「声なき声」なのだ。
今までの脱毛エステの事件を見ていると、この「声なき声」を店側が聞いていなかったことが大きな原因の一つである様に思う。
この「声なき声」は客単価、リピート率、紹介件数、売り上げ、に数字として現われてくる。
しかし、現れた数字を見た経営者が、異変に気づいて対策を立てる頃では遅いのだ。
業務用脱毛機の選定も含め、最前線で「声なき声」を聞くことの出来るエステティシャンの存在が必要だと思う。

クレームは初動が肝心

通常であれば、クレームを一番最初に受けるのは現場のエステティシャンだ。
クレームは現場で対応できるものと、経営側で対応しなければならないものに分けられる。
その線引きが出来ているエステは驚くほど少ない。
フラッシュ脱毛に関する肌のトラブルのクレーム対応は、特に慎重を期する。
もし顧客に脱毛による火傷などの皮膚障害が起きていたなら、その対応はエステティシャンでは荷が重過ぎる。
速やかに責任者もしくは経営者が対応すべきだ。

現場のスタッフか、責任者か、どちらが対応するかは、事細かく事前に決めておいて、そのとおりにする。
そういう基本的なことが出来ていないと、最初の対応が不明瞭になり、顧客に不信感や不満を抱かせる原因にもなる。

施術・接客、手抜きをしていませんか?

かなり前のことなので場所や時期は失念したが、脱毛エステが医師法違反で摘発されたニュースの報道で、火傷をした女性の足の写真を見たが、あまりの状態に驚いたことがある。
照射した跡がものの見事に照射口の形で火傷になっているのだが、その写真からは技術・脱毛知識の稚拙さと完全な手抜きが見て取れるからだ。
本来20発照射すべき範囲に、10発程度しか照射していない。
写真を見る限りでは、出力の上げ過ぎは明らかで、おまけに手抜きでは話にならない。
対価を頂戴してサービスを提供するレベルには程遠く、そのエステに行った顧客の方が本当に気の毒だ。

エステでは基本的には個室で施術するケースがほとんどで、個室に入ってしまえば管理者の目は届かない。
施術内容によってはお客様が寝てしまう場合もある。
エスティシャンが故意に手を抜こうと思えば、いくらでも可能だ。
事実、私の知人でも脱毛エステのフリーパスを契約したが、3回目あたりから手抜きを感じるようになり、施術の際に照射する発数を数えていたら、前回と比較して2/3程度しか打っていなかったという事例があった。
比較的大手のサロンでの出来事だ。
商業目的でやっているのだから利益を上げようとするのは当然の行為で、売り上げを上げようと頑張る姿勢は大切だ。
しかし、そのために快適なサービスの提供や、アフターケアが犠牲になっていないだろうか。
上記のような問題は新人エステティシャンに多いような傾向がある。
特に男性の効果的なヒゲ脱毛の施術などには、照射する技術と脱毛処理の進み具合を考慮するための経験が必要だ。
エステティシャンの教育にも、もっと力を入れる必要性を感じる。

昔と違い、今はネットの掲示板やSNSがある。
口コミの伝達に時間はかからない。
良い評判はなかなか広まらないのだが、悪評はあっという間に広がる。
基本に返り、リピートや紹介をしてもらえる様な接客・施術をしてほしいと思う。

サービス残業をやめよう

仕事で夜遅くなって車で移動している時に、知っているエステの店舗の照明が点いていることが良くある。
もちろん営業時間外なのだが、だいたい残っている理由は推察できる。
ミーティングだ。
たまたま搬入などで遅い時間に店舗に入ると、ミーティングでげっそり疲れきった顔をしているスタッフが並んでいる。
そこには前向きに意見を交換するような雰囲気はなく、ただただ苦痛の時間が終わることを願っている疲労感だけが漂っている。
店舗責任者が上層部に目標未達成を責められて、「その件で昨日、ミーティングをしました」という報告をする為に遅くまで拘束されては、離職率も高くなるはずだ。
スタッフ全員が納得し、そのミーティングがプラスに働くなら、私ごときがとやかく言うことではないのだが・・・。

近年、特に震災後は一部を除き、脱毛エステの経営は厳しさを増している。
スタッフにミーティングさせることで、そういった状況に対策をしている気持ちになっている管理者や経営者を見かけることがあるが、何か違和感を感じる。
経営サイドと現場サイドの役割分担をしっかり分けて、それぞれが責任を持って仕事をする。
経営サイドは現場スタッフの拘束時間を明確にして、その時間内は厳しく管理するが、その時間が過ぎたら仕事は終えてもらいプライベートを楽しんでもらう。
新規の予約が入り、既存客の来店も増え、という状態で忙しくて残業をするのはこの限りではない。
スタッフも状況は理解できるだろうから、時間外勤務を頼めばいい。
もちろん、時間外の手当は支給するのが前提だ。

ひどいケースになると、特に仕事もないのに、店舗責任者が帰るまで帰れないというエステもあった。
施術中に事故を起こさないように集中して作業するためにも、エステティシャンの時間的な緊張と緩和は大事だと思う。
対顧客時に最大の神経を使わせるべきで、それ以外は緩和状態にあってもいいと思う。
これは現場サイドというより、経営サイドに一考いただきたい事柄だ。
無駄なミーティングや時間的拘束が経営者に知らぬ所で起こっているケースもあるからだ。

経営者と従業員が話し合おう

上記の施術の手抜きやサービス残業の項で書いたことなど、エステ内の問題店の大半は話し合うことで解決する。
経営サイドと現場スタッフの価値観や倫理観をシンクロさせて、皆が同じスタンスで営業することはとても大切だ。
残念ながら、それが出来ているエステは少ない。
エステティシャンは問題や要望があったら、それが自己の利益や都合でないのなら、積極的に上司に進言するべきだ。
顧客と直接接するエステティシャンの意見は貴重なはずだ。
お互い、誤解や行き違いがないように、話し合うことは大事だと思う。

厚労省の105号通知を含め、脱毛エステが置かれている現状を労使双方が認識することも必要だ。
現状でもグレーゾーンで営業している部分があるのだから、エステティシャンが何も知らずに業務に就くことがあるとすれば、顧客も含め、あまりにリスクが大き過ぎる。

また、人手不足を一部のエステティシャンが時間外労働などでカバーしている店舗は相当数あるが、提供するサービスのメニューや料金、設備や時間などの営業体制などは現場のスタッフではカバー出来ない。
過度な負担が現場のスタッフにかかると、スタッフは疲弊してしまう。
問題を棚上げしたり、認識しながらも先送りしたりすると、その弊害は顧客に降りかかる。
お互い信頼関係を築くまで話し合い、決まった事はキチンと守り、お客様に愛されるエステにしてもらいたいと思う。

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